アジ研ワールドトレンド最終号(?)に関する雑感ツイート
アジ研ワールドが休刊するらしく、それにあたり、大ボリュームの「変わる世界、変わる研究」という特集がされていた。多くの研究者が研究方法論や自分の研究対象について語っていて読みごたえがある。
以下はそのうちの2つに関する雑感ツイート。あとでまとめ直すかも。
アジ研ワールドトレンド 「政治学における「因果推論革命」の進行」/ 粕谷祐子 https://t.co/CIYdWeDS2J 坂口安紀 開発モデルの転換と民主化がラテンアメリカ研究に与えた変化 https://t.co/ZqmcQTDTEL (の最後の捨て台詞っぽいところ)を読んで 思ったことをつらつらと。
— K. Teshima 手島健介 (@tetteresearch) 2018年3月11日
>「因果推論型のリサーチデザインを設計することが難しいという理由から、たとえば体制変動などの重要な政治現象が研究テーマとして取り組まれにくくなる事態である。政治学が「街灯の下で鍵を探す」学問にならな
— K. Teshima 手島健介 (@tetteresearch) 2018年3月11日
いことを願う。」「政治学における「因果推論革命」の進行」/ 粕谷祐子
「街灯の下で鍵を探す」に関しては個人にとってはそれ以外の何物にもなりえなのでは。自分は既存の手法(今ある街灯)の組み合わせで答えられるところしか扱えないわけだが、そのトピックでは新しい使い方であることもあるし、そこで見つかったことが誰かの街灯になるといいなと思ってやってるわけで。
— K. Teshima 手島健介 (@tetteresearch) 2018年3月11日
経済学に関してはある部分で手法上のブレークスルーが起きると大学院生や若手研究者がイナゴのように押しよせて色々なテーマでその手法で言えることを食い尽くす感じだが、割とすぐに貢献が小さくなるので、残ってる大きなテーマを扱える手法上の改善を促す動機は強いように思える。十分かはどもかく。
— K. Teshima 手島健介 (@tetteresearch) 2018年3月11日
対象がでかくて因果推論の手法が使いにくい分野≒研究ができない分野ではないと思うが。経済学にはマクロ経済学というでかい対象の分野があるが衰退はしてないのでは。たとえば R. Reis "Is something really wrong with macroeconomics?" https://t.co/J44tYPOG5e
— K. Teshima 手島健介 (@tetteresearch) 2018年3月11日
まあ個人的には研究のインプットとして他分野の質的研究、事例研究をよく参照する方で、かつ、ある意味経済学は事例研究を他分野にアウトソースしてただ乗りしてる状況にはあると思うので良質な事例研究が減るのは個人的には困る。そこでどうすればいいかはよくわからんが。
— K. Teshima 手島健介 (@tetteresearch) 2018年3月11日
>各国社会の特殊性(略)分析対象の要素(変数)から外されるということでもある。(略)それらの研究の洗練さに刺激を受け多くを学ぶ一方で、「それが面白いところなのに」という思いがぬぐえないというのも正直なところである。坂口安紀 「開発モデルの転換と民主化がラテンアメリカ研究に与えた変化」
— K. Teshima 手島健介 (@tetteresearch) 2018年3月11日
ある一般性を持つ仮説に自然実験などを使って検証するタイプの研究だと、文脈特殊なところからその文脈に興味を持っている人以外にも興味をもってもらえる一般性があるものを見つけるところが1つの肝なので、特殊性をすべて無視してるということはない。
— K. Teshima 手島健介 (@tetteresearch) 2018年3月11日
しかし、セッティングが特殊なおかげで分析してる文脈での内部妥当性が高いことの裏返しとして外部妥当性に疑問を提示されることはよくあるので、実証戦略に不可欠な部分以外は特殊性をないような扱いにすることはあるかも。外部妥当性がある側面、弱い側面をきちんと議論するといいのかもしれない。
— K. Teshima 手島健介 (@tetteresearch) 2018年3月11日
ただ、ここは本から論文にアウトプットの形が移っていることも一因にある気がしていて、仮説検証型の政治学者にとって地域研究者は本の対象読者になることはあっても論文の一番主要な対象読者ではない、ということもあるかも(政治学者を経済学者に変えると100%そう)。
— K. Teshima 手島健介 (@tetteresearch) 2018年3月11日
別に結論はないんですが、1いい変動の乏しいデータから意味を出すのも、2文脈特殊的結果から一般的なメッセージを出すのも少なくとも経済学では理論の役割が大きいのでそれを他分野からどう思われるかはともかく、あとマクロはおいといて、自分は2の部分で理論を頑張らないとなあと思いました(小並感)
— K. Teshima 手島健介 (@tetteresearch) 2018年3月11日